16年9月/今年も最後の草取り時期
今年も最後の草取りの時期を迎えました 【 PDF版 】
この冬はほとんど雪がなく暖冬だったので、夏場のお米作りの時期の天候を心配していましたが、予想外に好天に恵まれ、無事に稲穂が出揃いました。
これから台風の来襲さえなければ、豊作の秋が迎えられるのでは・・・と楽しみにしています。
今年も無農薬の「あきたこまち」の田圃は千羽余りのマガモ君たちが田圃を泳ぎ回って草取りの手伝いをしてくれました。
小さい規模の無農薬栽培ですと、代掻きや水管理などこまめな手当とカモの飼育が上手な生産者の場合は、このカモだけで雑草をほぼ封じている事例もあります。
しかし、我が農舎のように、10ヘクタールを超える無農薬栽培であって、1区画の田圃が100メートル×200メートルを超える大規模になると、田圃の中心部などカモが泳ぎ回る頻度が少ない空白域が出来て、この部分の雑草は抑え切れません。
このため、カモ君だけに頼らず、早期の除草機掛けや手取り除草で補った上で、それでも取り残したヒエなどの雑草は、種が落ちない間に、再度手取り除草を行って翌年の雑草発生を抑える必要があります。
毎年少し涼しくなってきた丁度今頃は、毎日10人程度のパートの女性の応援を得て、この最後の手取り除草に精を出す時期に当たります。
来年は、カモの空白域を埋めるため、田圃の中心部に餌場や、田圃の奥側にカモの遊び場を設けてみるなど、もう一工夫をしてみようと考えています。
今年の稲の刈り取り時期は、今後の天候によって変化しますが、今のところ例年よりも数日早く始められそうです。
新米の出荷は、刈り取り後、乾燥や籾摺り作業に少し時間が必要ですので10月10日前後になりそうです。どうぞご期待下さい。
イネカメムシが原発、安保、憲法問題へ
今年は予想外に天候が好く、夏の気温が高かったことで、イネカメムシの発生が多いようで、県や農協が「イネカメムシ類の防除の徹底を!」という「農薬を撒け!撒け」という呼びかけを何度も流します。
イネカメムシ類は、イネカメムシ、ホシハリカメムシ、アカスジホソハカメムシなど数種類の昔から広くいる稲の害虫ですが、この害虫が発生しても収穫量が落ちる程の被害はなく、米粒に黒い斑点が出るだけですので、昔は大きな問題にならず、この害虫防除の農薬も散布されることは少ないでした。
ところが、お米の検査基準が変わったことと、米の生産過剰でお米が買い手市場になったことで、斑点米が混ざっているお米は極端に取引価格が下げられる傾向が出てきました。
この状況を受けて、また、県や農協の指導の徹底が加わって、農家はイネカメムシの防除農薬を盛んに撒くようになりました。
皆さんも稲穂が出る時期に、夕方や早朝に田舎道を走られると動力散布機で煙のように農薬を撒いているのを見かけることがあると思いますますが、これらはほとんどこのカメムシ防除です。
私たちのお米作りでは、少々の「斑点米」が出ることをご理解頂いている消費者の皆さんのお支えのお陰で、農薬は使いませんが、カメムシ類に使われる農薬が「ネオニコ系農薬」で、神経毒によってミツバチが方向性を失い日本中のミツバチが激減していることで大問題になっています。
ところで、農薬工業界などは「韓国と日本は、世界中で単位面積当たりの農薬の使用量がずば抜けて多いが、この数年日本の農薬の出荷量は総体的には減少傾向にあり、農薬の安全性は高まっている。」と宣伝しています。
しかし、お米を例にとれば、減反政策で栽培面積が40%減少していることと、農薬の使用形状が近年めざましく変化し、従来は10㌃に3Kg使っていたものが、今では、3倍以上成分が高い1Kg剤が主流になり、更に、苗箱に100倍の濃度の成分を10%施すなど成分換算した実際の農薬使用量は、実際には逆に大幅に増えており、農薬出荷量統計は実態から遊離したものに過ぎません。
私たちの近辺でも、①TPP問題による外米との生産コスト差縮小や、②かっての民主党の所得補償や規模拡大政策など、矛盾だらけの農政の影響によって、農薬と化学肥料の多使用による増収によって生産コストを抑えようとする、安全に逆行した生産姿勢に向う人が増えているように思います。
お米が余って40%も減反しているのに、農薬と化学肥料を多投して増収させることに一生懸命になる。この矛盾は電気が余っているのに危険な原発を止められない問題と似ているように思います。
このように思っていた矢先に友人が『日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないか(矢部宏治著 集英社刊 \1.200)』という昨秋からベストセラーになっていた矢部宏治さんの本を貸してくれました。
表題からして右か左に傾いた本だなと軽く思いながら読み進んで驚きました。
関心がある問題ではあるが深い知識のないノンポリの自分にとって、安保や憲法、また原発問題の神髄が、敗戦と天皇やアメリカに関わるとは目から鱗でした。
農政問題は天皇やアメリカとは関わらなくとも、問題混迷のメカニズムは同じではないかと大いに参考になりました。また、何よりも憲法問題を考えるとき大いに参考になる本でした。まだお読みでない方は是非