13年12月/馬脚を現した減反見直し
21年目のブナ植えご支援御礼 【 PDF版 】
今年も文化の日にブナを植えました。カンパなどご支援ありがとうございました。
今年のブナ植えは21回目で、前回までの第3植栽地は植え尽くし、新しい第4植栽地に移動しました。
今年も我がロッヂには遠く関東などからもブナ植えに参加下さる方がお集まり下さって、賑やかに前夜祭を行うことが出来ました。
今年は稲刈りが終わった翌日から、暴風雨や風はなくとも雨の日が多く、ブナ植えの11月3日は「雨」の予報で心配していたのですが、植栽作業中は雨に遭わず、屋内での交流会中の午後に豪雨が来るという幸運でした。
この数年前夜祭では恒例になった男鹿沖のマグロは、当日がしけで休漁になり困っていたのですが、男鹿の魚屋さんに前日に獲れたマグロが2本残っているという情報を得て手に入れられ皆さんに喜んで頂けました。
ところで、異常気象に振り回される近年ですが、今年のお米作りも種蒔きから収穫後の後片づけ作業の時期まで、ずっと悪天候に悩まされました。
でも、どうしたことか我が家の稲刈り期間中だけは幸運にも一度も雨にあわず収穫作業は順調でした。
稲刈り後は、今年は暗渠設置工事を計画していましたが、上に書いたように我が家の稲刈りが終わった翌日から今日まで2ヶ月ほど雨が続いています。
たまの好天だけでは処理できず、雨にもめげず泥んこになって作業を進めた結果、予定した作業は雪に覆われるまでにほぼ終えることが出来て、いまホッとしているところです。
放射能残留問題は、事故当初500ベクレルで、その後100ベクレルと動く上に驚くほど高い国の基準。「本当に安全基準なの?」と疑問を持ちます。我が農舎の状況は、前号でもお知らせしましたように結果の詳細は、お米の箱にお入れしていますが、いずれも1ベクレル検出限界の検査で「検出されず」でした。
いま国の農政転換が話題になっています。我が農舎は今までから国の農政にはほとんど従わずお米を作ってきました。国の農政がどのように変わろうと我が家の営農方針は不変です。どうぞ引き続きご支援をお願い致します。
最後になりましたが、この一年もお世話になりました。どうぞご家族お揃いで健康で佳い新年をお迎え下さい。
馬脚を現し始めた「減反見直し」
農協組織や、政府の手厚い保護を求め続ける多くの農民は、政府自民党が「減反の廃止」「所得補償の廃止」など補助・保護農政の大転換を目論んでいるかのようにマスメディアが報じ始めた10月頃は、驚きと戸惑いで意気消沈していました。
しかし、来年度予算編成を前にした11月末になって、政府自民党は着地点を決めたようです。
まだ今後煮詰められる部分も多く詳細は今後を待たねばならない点もありますが、農家にバラ撒く補助金などは逆に増加するとの予測が拡がり農協や保護を求める農民に安堵感が広がってきました。
結局、農業への財政負担を大幅に削減し自立を促す大胆で期待できる改革ではなかったのが実態のようです。
私は、農政は問題だらけですが、中でも戦後農政の中での最大の愚策は「減反政策」と「所得補償農政」の2つだと思っています。
両政策は、農民の中にも「国民の義務として自立しなければならない。」「自営農家として経営マインドを高めねばならない。」と思いかけた人々の芽を無惨に打ち砕いた愚かな政策だったという点で共通しています。
前者の減反政策は、日本のどの産業も市場経済で動いている中で、農業、米だけが食管という統制経済で規制され保護される政策が続いていた。しかし、米過剰の時代となり政府は古米の財政負担にあえぎ食管の廃止に向かわざるを得ない状況を迎えた。
この時、自立心のない多くの農民や農協は「食管堅持」の政治圧力に明け暮れたが、「過剰米がある中で食管が無くなれば、一時米価は暴落して経営は苦しくなるが、経営革新を続ければ自立した農業が展開できる好機だ。」ととらえる健全な農民も一部にはおりました。
しかし、政府は多くの農民票欲しさに食管温存のままに「減反政策」を始めました。
意欲的な農民は、経営マインドを発揮しようにも発揮できる場がなくなったのです。それどころか「減反政策」は、農村部落に1人でも減反に従わない農民がいれば、部落員全員に農業補助金を交付しない。という江戸時代の5人組制度を制度化して、農民同士の相互監視や反目を助長し、日本農村に集団主義をはびこらせ、日本農村の民主化を破壊しました。
一方後者の「所得補償農政」は、民主党が農村票集めのために始めた愚策です。
このバラ撒きの規模は農民が予想もしなかった多額であったため、民主党には多くの農民票が集まりました。
しかし、この頃には「減反政策」に従っていても将来展望が見えないという経営マインドの芽が出かけた農民が全国各地に現れ始めた時期でした。でも、所得補償という名のバラ撒き制度の出現で、この折角の萌芽は全て消滅しました。
そして今回の自民党の動き。「所得補償農政」で民主党は農民票を集めた。この踏襲を続けることは自民党の沽券にかかわる。そして、日本農業なんてどうでもいいがTPP問題で農村からの反発が強い。農村票が減れば大変だ。大胆な農政改革と名付けて、別の財政援助で農村票を集めよう。という低レベルから生まれたもののようです。
結局日本の農政は、国民の食糧や日本の農業の将来像に根ざしたものはなく「食管」「減反」「所得補償」などどれもが時の政権の集票の道具に使われて来たという歴史の繰り返しです。
もう10年もすれば、高齢化、農村人口の減少で農民票の価値は低下する。農民票が当てにならなくなれば、政治に利用されなくなると同時に、「農政」は縮小され、農村農民へ財政援助は減る。
この時を迎えて始めて、日本農村農業に、消費者市民の支持と支援で成り立つ自立した経営マインドの高い農業者が数は少なくとも生まれてくるのではないかと期待しているところです。