13年7月/初マガモ除草

一転好天となり、稲はすくすく育っています。 PDF版

田植えが終わり、草取り用の1200羽の鴨の受入準備
田植えが終わり、草取り用の1200羽の鴨の受入準備

今年は、種蒔きから田植えが始まるまで、付近の古老も驚く厳しい寒さが長期間続きました。

昔は、田圃の一角に直に種を蒔く苗代で葉っぱが5枚出た頃手で田植えしていました。 泥田の中で腰を屈めて行うこの田植えは、一番苦しい農作業でした。

しかし、昭和40年代中頃に田植機が開発されたことで、農家は田植えの苦労からやっと解放されました。 機械で田植えを行うようになってから、苗作りの方法も根本的に変わり、種は1尺×2尺の大きさの2センチ程度の浅い土を入れた苗箱に蒔き、寒い地方ではビニールハウスで箱育苗するようになりました。

箱育苗の教科書は「育苗期間中に気温が9℃を切るとダメ」となっており、実際にも、寒い年には未熟な農家の苗は、寒さによって病気で枯れることが多いでした。 今年の育苗期間中は、冒頭のように、9℃どころか、最低気温0℃、日中の最高気温が5℃とか、ミゾレや雪が降る日など、過去の記録にない寒い日が延々と続きました。

我が家の場合は、十数年も前から、この苗箱育苗を、ビニールハウスではなく、寒さをモロに受ける露天で行っているので、少々の寒さへの対応には慣れていますが、さすがに今年の長期にわたる低温には、少々心配していました。 ところが、結果的には、我が家はもちろん、近隣の農家も、寒いために田植えのスタートが予定より1週間から10日程遅れたものの、苗はほぼ平年並みに育ちしました。

今までの苗作りの常識からすると、この悪天候の中で育ったことは「奇跡」です。 苗作りの教科書で「ダメだ」と説かれているのに無事だった原因は2つのようです。

1つは、生物の環境適応能力の強さ。生命力は無限偉大です。2つ目は、延々と続く経験したことのない寒さに遭遇した農家が、緊張し、熟練した緻密な管理技術を遺憾なく発揮したことです。

この2つが、今までの常識を覆し、不可能を可能にしたようです。

昨今の世は、今までの常識で眺める限り、人口減少、少子高齢化、雇用不安など等、暗いことばかりです。 でも、今までの常識を持ったままで、アベノミクスの経済成長に期待しても落胆が待っているだけです。安倍さんや政府の能力が及ばない経済メカニズムの問題だから、投資感覚のない投機だけの金融マフィアが喜ぶだけで、実体経済の改善は所詮無理なのです。

「もはや経済成長はない」「日本の人口は、明治維新時代並で構わない」などと今までの視点を転換すれば、案外愉しい人生、生き甲斐が生まれるのではないかと、今年の悪天候を乗り切った苗に接して思うところです。

 

1307_02草取りの人手が足りない。 マガモ君に頼みました。

初めてのカモ除草。田圃で元気に頑張るマガモ君

無農薬のお米作りの場合には、田植えを終えると毎年、草との闘いです。

 餌場寝床用ハウス作り
餌場寝床用ハウス作り

除草剤を使わない栽培には、深水にするなど種々の緻密な管理で雑草の発生を抑えるように、頑張るのですが、最後は、人手に頼るしかないのが実情です。 以前には、毎日20人を超えるパートの女性が草取りの応援に来てくれましたが、近年この人たちの高齢化で一日10人の女性を集めるのが精一杯となりました。

そこで、数年前から、カモを活用した除草を行っている近隣の有機栽培仲間の実情を教えて貰っていました。その中の1人が、カモ導入を止めることになり、脱走防止用のネットなど鴨用の資材一切を貸してくれることになり、今年からカモを導入してみました。

ネット張り作業
ネット張り作業

ところでカモ除草は20年余り前から全国各地で試みられていますが、我が村にも20人余りの農家がカモを利用しています。 除草用のカモのヒナを供給してくれるところは、全国に数カ所ありますが、その供給者によって、カモの種類が違うようです。

我が家の場合は、純血の野生マガモを飼育した卵から生まれたマガモですが、多くは、アヒルとマガモを交配した「アイガモ」が多いようです。 また「アイガモ」であっても、交配によってヒナの供給者毎に、品種、性質が大きく違うようです。 我が家が導入した「マガモ」は、小型で運動量が多いようで「よく働く」ようです。

マガモ君到着 6.10
マガモ君到着 6.10

田植えが6月始めに終わって、早速、カモの受入準備に取り掛かりました。

受入に必要なことは、カモの餌場と寝床のための小屋を造ること。除草する田圃から脱走しないように、田圃の周囲にネットを張ること。が主な作業ですが、これが結構手間がいるもので、田植え後大忙しでした。

カモは、6月10日にレンタカーを借りて、山形県の飼育者まで譲り受けに行きました。 譲り受けたマガモは、5月20日前後に生まれ餌付けした20日ほどのヒナ1200羽で非常に健康で元気でした。

田圃で元気に頑張るマガモ君
田圃で元気に頑張るマガモ君

そのカモを300羽づつに分け、周囲をネットで囲んだ4ブロックに放鳥しました。 ネットの総延長も2.5Kmに及ぶのでネット設置には3日ほど費やしました。 朝夕2回の餌やりや、カラス、トビ、イタチなどにカモが襲われるので、その対策や、田圃の廻りには、ネットを張り巡らしているとは云っても、それが破られたりするので、毎日早朝から管理作業に大忙しです。

数日でカモはなついて、田圃に着くと「餌が欲しい」と大きな声で鳴き、田圃の廻りを歩くと、ネットのそばを群れになって付いてきます。 実に可愛いものです。