テレビや新聞など見てるとFood Action Nipponとか言う政府のキャンペーンで、テリー伊藤が出てきて米粉パンを盛んに売り込んでます。
新聞広告によれば、国民が月に3個米粉パンを食べると食料自給率が1%上がるんだとか。
って、ホントですか?
その3回がご飯(米飯)からの切り替えだったら自給率は変化なしじゃない?
(むしろ、米粉パンに約20%含まれる小麦グルテンの影響で、自給率マイナスでは?)
一方で、生産者側を見ると、、、
今年は生産調整(減反)部分に米粉用の米(新規需要米)を植えると、10aあたり8万円の補助金が出ます。
ちなみに、煎餅などに使われるお米は新規需要米と異なり、補助金の額も少なくなります。
しかし、米粉を元に、米粉パンや米粉麺などが食べられれば、今までご飯を食べていた部分が米粉に置き換わる可能性だってあります。
そうなれば、新規需要米に米飯の需要が食われてしまう=米価がさらに下落するということにも成りかねません。
そもそも補助金は不要だと思いますが、どうしても自給率向上のためなら、
米飯の需要と直接ぶつからない、お菓子(煎餅、米粉のケーキ、団子)の原料となる米粉には補助を手厚くし、逆に米粉パンや米粉麺など、米飯と直接競合するものは補助金を削減するようにすればいいと思います。
(実際には、最終加工品まで限定して原料米に補助を出すのは、運用できないので無理だと思いますけど)
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ちなみに、以前某業界紙に載っていた情報を人に聞き気になっていたのですが、自分では確認できなかったのが、最近ようやくネットで見つけました。
(前略)
業界最大手の山崎製パンでは米粉パン発売当初の08年9月期は消費者の関心の高さもあり、米粉パン・洋菓子の売上合計は1・5億円に達しましたが、09年に入ってからは不景気の影響もあって月額3~4千万円程度にまで落ち込むなど、(後略)
ソース:http://nourin.vis.ne.jp/2010/220105.htm
と言うことで、ヤマザキは米粉商品の売上が、1/4~1/5まで落ちています。
昨年は米粉が話題になっていたはずですが、売上は落ちているのです。
この原因が価格の高さだけとすれば、もしかすると新規需要米の補助金による原料価格の下落によりまた売上は上がるかもしれません。
ただ、私は原因が価格面だけではないと思います。
その原因が、味や質などによるものであれば、自給率向上に米粉と言ったところで、需要は限定的ではないでしょうか。
以前、米粉のパンも作るパン職人さんに言われました。
『小麦粉のパンやお菓子は世界中でずっと昔から作られてきてノウハウなども豊富にある。米粉パンはここ数年で出てきたもので、発展途上だ。』
米粉の加工技術が進化し小麦粉に近づいたことは事実ですが、小麦とまったく同じ性質でないのもまた事実。
単純に、小麦粉を置き換えてOK、とはいかない以上、普及にはだいぶ時間がかかるんじゃないでしょうか。
また、仕事として自給率向上/地産地消のために米粉の普及をされている方とお話する機会が前にありました。
『米の消費を増やしたいなら、米粉の加工品を開発するより、美味しい飯のオカズを開発して、ご飯をおかわりするようにした方が早い』
毎食、4人家族の誰か1人がおかわりするだけで、単純に米の消費量は25%アップします。
わざわざテレビCMや補助金まで出して米粉を作るより、よっぽどシンプルなアイデアだと思いませんか?
Food Action Nipponには、是非とも「もう1杯おかわり」キャンペーンをやってみてもらいたいものです(笑)。
例えば、『こんなメニュー(オカズ)にすれば、トータルのカロリーは同じだけど、ご飯を2杯食べられて自給率UP!!』みたいな提案をしてはいかがでしょうか?
それと共に、『パンや麺にはあわないけど、ご飯にはとってもあうオカズや一品モノ(例えば明太子とか、漬物とか)の開発推進』とかね。
是非よろしくお願いします。
(別に税金でやるべき話でもないけど、どうしてもFood Action Nipponなんてのを続けるなら、米粉よりいいとおもうんですけど)
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ちなみに、我が家も、米粉を販売しています。
なので、米粉が普及する悪いとは思いませんし、米粉で作るパンは小麦粉のパンと違った味わいがあって美味しいのも事実です。
ぜひとも米粉のパンを一度食べてみて欲しいとも思います。
ただ、(補助金を欲する人たちによる利益誘導のため)『食料自給率の向上、耕作放棄地や米の供給過剰は米粉ですべて解決だ』と言う間違った大義名分を掲げて、そこに税金がドンドン投入されるのは許せないです。
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