前回、Oisixと大地を守る会が経営統合に向けた検討を進めるとの発表について、その会社との取引をしている農家としての立場での思いを書いてみました。
(リンク:Oisixと大地を守る会の経営統合~有機農家が思うこと その1~)
今回は、ちょっと違う視点で、この件について書いてみたいと思います。
今回の件、個人宅配をやっている立場で考えると「チャンス」だと思っています。
(我が家は個人宅配と、大地を守る会さんなどの有機食材の宅配、共同購入団体や生協さんなどへの販売の両方を行っています。)
正確に言えば、今回の件、と言うより「今の業界の流れ」についてです。
大地を守る会のプレスリリースにグラフ出ていますが、現時点で有機・こだわり系の食材の宅配はOisix、らでぃっしゅぼーや、大地を守る会の3社が寡占に近い状態になっています。
大きな会社が扱うことで、個人農家や小規模な 会社ではできないような宣伝や効率的な運営ができたり、コストを抑えて提供できるなどのメリットはあります。
そして、それが業界全体の活性化につながる可能性もあるでしょうし、それ自体は否定しません。
しかし、大きな会社ではできず、小回りの効く規模だからこそできる販売方法もあると思っています。
その顕著な例として、大きな規模になると、生産者と消費者の距離感は遠くなっていくと思っています。
別に生産者と近ければいいわけではないですし、距離感がどうあれ農産物の品質(安全性など含め)が重要だと言う意見もあるでしょうが、生産者との距離感(の近さ)を重視する消費者も少ないながらも一定数いると思っています。
そして、その距離感(の近さ)とは、大きな会社が予算をかけて作るキレイなカタログに「農家の●●さんのこだわり」と農家の苦労話がキレイな写真と文章で描かれることではない本当の距離感。
農家との直接の取引や、規模の大きくない流通を経由する販売方法だと、その本当の距離感の近さを伝えられると思っています。
世の中の流れとして大きな会社による寡占化が進めば進むほど、そこから取りこぼされる「生産者との距離感の近さ」というニーズを、農家をはじめとする小さな経営体は拾える可能性が広がるわけです。
そして、自分は、消費者と直接話がしたいという距離感の近い農業がやりたいと思っているので、そこがすっぽり空いてくれるのはありがたいなーと思います。
もちろん、距離感の近さだけに頼って品質をないがしろにするつもりはありません。
品質に加えて距離感の近さを大切に、これからもお米の生産、販売を頑張っていきたいと思います。