米業界でトップ規模の卸売業者の神明が10分で炊ける炊飯器を発売しました。
神明精米、最短10分で米が炊ける小型炊飯器「poddi(ポッディー)」(家電 Watch)
とは言っても、普通のお米が10分で炊き上がるのではなく、専用の「ソフトスチーム米」と言う商品の場合の話。
(つまり我が家のお米は10分で炊けません…)
「ソフトスチーム米」は、早稲田大学とT.M.L、埼玉県産業技術総合センターの共同研究から生まれた、食品加工技術「ソフトスチーム」加工を施したもの。(中略)
専用のソフトスチーム米のラインナップは、炊飯時間が約10分の「あかふじ ソフトスチーム米」(2,250g)、約40分の「あかふじ ソフトスチーム玄米」(2,100g)、約20分の「あかふじ ソフトスチームもち玄米」(2,250g)の3種類を用意。価格は順に、2,680円、2,680円、3,128円(税込)。
いまどきの忙しい方々にとっては、洗米して浸漬して、30分~40分も炊くって言うのは手間ですよね。
これによって米の消費が伸びれば(消費の減少が食い止められれば)、米農家含めて、業界全体としてはいいことなのかもしれません。(我が家のような小売をしている農家にとっては厳しい時代ですが)
ところで、このソフトスチーム米の他に、神明は昨年「白米プラス」と言うラインナップの商品を出しました。
どちらも、白米に、もち麦(もちぷちごはんのみ)・大麦・発芽玄米、マンナンヒカリなどが加えられた商品です。※マンナンヒカリは、こんにゃくなどを原料に米粒状に加工した人工米(カロリーが減らせます)
米に限らず卸と言えば、産地と実需者の間で商品を流通させるだけでしたが(米卸の場合は精米をしている業者も多いですが)、最近ではこのように高付加価値商品も作るようになってきています。
また、元々精米機などのメーカーであった東洋ライスと言う会社がありますが、こちらも最近は「金芽米」という商品名で栄養価の高い胚芽の一部を残して精米した商品を自社商品として出してきています。
そして、神明、東洋ライスの商品に共通して言えるのは、どちらも産地や品種をウリにしていません。
(金芽米は、セレクトと呼ばれるブレンド米の他に産地・品種を限定した金芽米も出してはいますが、産地・品種をウリにするのではなくあくまでも「金芽米」と言うブランドを前面に出しています)
また、ここ数年、セブンイレブンでは「セブンイレブンのお米」と言うネーミングでお米を売っています。
こちらは、高付加価値ではないですが、セブンイレブンのお弁当やおにぎりを日常的に食べることで、産地や品種ではなく「セブンイレブンのお米(ごはん)」で一定のブランド化ができているのです。
これからは、産地や品種で選ぶ時代ではなくなるかもしれません。
「新潟コシヒカリ」、「秋田産あきたこまち」と言っても、県内の地域によって気候や土壌は違いますし、もっと言えば、同じ地域内でもそれぞれの田んぼの土壌はまったく違うことがあります。
また、生産者の作り方(目指すところ)によって、収穫量を求めるのか、味を求めるのか、と言うことも違います。
さらに、実際にその目指すところに向かって、どれだけしっかり栽培や管理ができたか、と言うことも生産者によって様々です。
ですから、一言で「秋田産あきたこまち」と言っても、その品質や味は、当然、田んぼや生産者ごとによって異なります。
もちろん、品種(種のDNA)自体の持つ特性があるので、まったく違うものになる、とまでは言い切れませんが、産地銘柄は大まかな傾向を示すもの程度、と言うのが本当のところかもしれません。
これから先は、産地銘柄が気にされず、商品ブランド(神明のソフトスチーム米、金芽米、セブンイレブンのお米、トップバリュのお米)などで選ばれるようになる時代になるのかもしれません。
産地銘柄で売っていた昔からの米どころはどうして行くべきか考えなければいけない時代ですね。