何度となくTPPの話題が挙がっては消えていきましたが、TPP交渉でいよいよ農業(コメ)について決着しそうだと言うニュースが聞こえてきました。
コメ輸入「10万トン未満」で調整…TPP(読売新聞)
政府は、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、米国や豪州から主食用のコメを無関税で輸入する「TPP特別枠」の規模を「10万トン未満」とする方向で調整に入った。
米国からは7万~8万トン程度、豪州からは米国の10分の1程度の量について、それぞれ輸入の拡大を認める方向だ。
7月下旬に甘利TPP相が米豪の担当閣僚と個別に会談し、決着を図る。
現在すでに無税枠で77万トンがあるわけですが、これにさらに10万トン弱が追加されるような形となります。
TPP交渉参加国では、さらにベトナムなどもあるわけですから、本当に10万トンで済むのか?と疑問に思います。
ただ、個人的には、TPPに限らず、農業(コメ)はいずれ市場開放に向かうべきと思っています。
それは別に「諦め」とかではなく、国内政策(減反/需給調整)にしろ貿易にしろ、原則としては市場原理に基づく形が望ましいと言う考えからです。
誤解をされないために言い訳すると、価格(コスト)が安いところで生産され輸入されたものが、一番安いからベストな商品(選択)であるというような考えはありません。食糧安全保障と言う仰々しい理由に限らず、国内(地域)の雇用、経済、伝統(食)と言う観点からも、地域や国内で生産されたものを消費する方がいいと個人的には思います。
ただ、それは最終的に消費する側が選ぶべきものであって、政策であったり、供給側のエゴで押し付けるものではないと思っているので「基本的に市場原理が望ましい」と思うわけです。
逆の言い方をすると、TPPで市場が開放されたとしても、国産(自分たちの)商品を選んでもらえるような農家にならなければいけないと思うのです。
さて、今回の交渉で追加輸入枠が10万トン前後になるとのことですが、TPPとは無関係に、残念ながら日本のコメ余りは進んでいます。
すでにコメが余り、生産調整が行われているのですが、今後さらに毎年、年間8万トン程度の需要の減少が今後も続いていくと予測されているのです。
「需要が減るんだからなおさら一粒たりとも輸入は増やしてはいけない」という意見もあるかもしれませんが、逆に考えれば、コメ農家にとってはTPPだけが大きな脅威ではありません。
単純にTPPに反対するか賛成するかではなく、コメ余り(需要減少)なども含めて、仮にどんな状況になろうとも、自分がどういった農業をしていきたいか(どんな農業をして生き残るか)、を考えて行動することが重要だと思うのです。