先日参加した地域に広げる有機農業全国交流会で伺った「さんぶ野菜ネットワーク」では、積極的に新規の農業参入希望者を受けれおり、会員農家の元で研修した後に、有機農家として独立していました。
正確な人数は忘れましたがここ5年ほどで20名近くが新規に就農し、一人の脱落者もいないそうです。
研修生の人参畑を見学。天候に恵まれて11月末とは思えない温かい日でした。
これだけ気候がいいと、千葉で人参農家になるのもいいかなぁー、と思ってみたり(笑)
個人的には農業研修の受入と言えば、篤農家的にボランティア精神を持って善意で受け入れているか、悪い見方をすれば、研修させると言うより研修生と言う安価な労働力を手に入れるための手段かと思っていました。
しかし、さんぶ野菜ネットワークでは、自分たちのグループの拡大のために、新規就農者を受け入れています。
「さんぶ野菜ネットワーク」は会員農家数54軒、売上数億円。
出荷団体としては結構な規模だと思いますが、ネットワークの売上規模や販売量を今後も増やしていくことが効率的なグループ運営に必要だと考えているように見受けられます。
そのために研修生を積極的に受け入れ、就農後はメンバーとして受け入れることで、自分たちのグループの拡大につなげたいと言う考えで研修生受入をしているようです。
(ここでの農業研修は、地元での就農、ネットワークへの参加が条件になっています)
一方で研修生/新規就農者側からも、研修終了後にネットワークに加わることで就農後の販路などに不安がないため、研修先(その後の就農先)としてここを選んだ、という声が聞かれました。
また、どんどん新規就農者が入ってくることで、新規就農者同士のつながりがあり、仕事でわからない点は大先輩の農家だけでなく、気軽に先輩の新規就農者にも聞くことができる、といういい形で成功のスパイラルが完成していました。
有機農業に限らず農業研修の受入をする際の理由として、
農業を活性化すべき(させたい)、食糧自給率を上げるべき、過疎の地域をなんとかしたい、有機農業を普及させるべき、と言う理由でやってしまうと、崇高な精神はとてもステキですが、そんな志が高く研修を受け入れられる農家は限られてきます。
ここのように、研修受入が自分たちに直接的にメリットをもたらすというのであれば、もっと研修受入もうまく回るのではないかなぁーと思います。
※直接的なメリットってのは、研修生を受け入れて(補助金などももらい)安いコストで馬車馬のようにこき使える、ってことではないです。(それでは、今度は研修生側にメリットがなくなってしまうのでうまく回らない)